OFIIの市民講座(formation civique)2日目 inストラスブール

フランスに住む

今日は2回目のOFIIの市民講座(formation civique)を受けてきました。会場や出席メンバーは前回と同じでした。1回目の様子はこちら→OFIIの市民講座(formation civique)1日目 inストラスブール

講座内容

今回も前回の講座同様複数のテーマに触れました。

  • ライシテについて
  • フランスの政治システム、司法組織
  • フランス国籍の取得
  • 親になること、教育
  • 住居
  • 健康
  • 就職、労働

これ以降は今回も前回同様以それぞれの項目について、私がおもしろいな、役に立ちそうだなと思ってメモした内容です。※必ずしも毎回この内容とは限らないので、講座ではこんなことが共有されるよ、という参考程度になります。

ライシテについて

ライシテ(La laïcité)とは「非宗教性、世俗性、政教分離」を表すフランス語です。フランスは宗教の多様性がある国で、その数は100以上も言われています。フランスで信者の数が一番多い宗教はカトリックである一方、イスラム教、ユダヤ教、仏教の信者数がヨーロッパで一番多い国でもあります。

ライシテの起源について
かつでは王、貴族・聖職者、平民と言った社会的ヒエラルキーがあり、宗教が政治に対して大きな影響力を持っていました。またサンバルテルミの虐殺(カトリック信者によるプロテスタント信者の殺害)のような異教徒の迫害の歴史もあります。そこから
1789年 市民宣言:この時に言論の自由(宗教も含む)を定めた
1882年 小学校でのライシテを規定
1905年 政教分離
2021年 共和国の原理の尊重、ライシテの強化、公共サービスの中立化、文化的組織・カルト施設の統制

という歴史を経て今に至ります。

政教分離とは
改めて政教分離とはどういうことかと言うと以下のような内容になります。

  • 国教を持たない=国は宗教に対して中立な立場となる
  • 個々の宗教の自由は保証される
  • 公共サービスは宗教に対して中立な立場となる

信仰や宗教の自由
信仰や宗教の自由とは宗教を信じる、信じない、宗教を変更する=改宗する自由を指します。フランスではプライベートの場や宗教施設では宗教的行為を行使する自由があります。他方で公共の場では公共の規律を乱さないと言う条件が付きます。例えば宗教関係のイベントを公の場で実施する場合は自治体にきちんと許可を取る必要があります。また宗教はなんであれ、法律は全ての人に同じである=宗教のために法を犯すことは禁止されています。

フランスの政治システム、司法組織

フランスの政治組織

フランスは民主国家=選ばれた代理人を通して市民が力を持つ です。フランスには大小合わせて500以上の政党があります。

フランスはParlementと呼ばれる議会があり、これは Sénat(上院)とAssemblée nationale(下院)から成り立ちます。

SénatAssemblée nationale
議員数348人577人
任期6年5年
女性割合35%ほど36%ほど


議会では国家の法と予算について投票します。日本の議会と大枠は同じですね。

ちなみにフランスの最高指揮官は大統領ですが、大統領の任期は1期5年間、連続で2期まで務めることができます。また2期終了後も1期空ければ再就任可能とのことです。

司法制度について

フランスにはCDAD(Conseiller Département d’Accès des Droits)と言う組織が各地域にあります。
例:Point-justice du Bas-Rhin(ストラスブール地域圏のページ)

法律や権利が関わる問題を抱えている場合(例:外国人であることを理由に職場で差別を受けた、など)、この組織にサポートを依頼することができます。
Permanences juridiques で対応部門の連絡先などを確認できます。

フランスにはもう一つDéfenseur des droits(直訳すると権利の保護者)と呼ばれる人がいます。大統領から6年の任期で任命される独立した行政組織です。政府に対して法の観点から助言、警告する権利を持つと同時に市民も法的な視点からサポートします(例:行政手続きで不合理な扱いを受けた、など)。

フランス国籍について

フランス国籍を取得できる条件の代表例は以下の3例です。

  • フランスで生まれ、フランスに居住している(現時点では片親がフランス人の場合は生まれた時点でフランス国籍取得、両親が外国人の場合は一定年齢時点でフランス国籍取得可能)
  • フランス人と結婚している
  • 大統領令によって(フランスの軍隊に所属した、などフランスに貢献した実績がある場合)

上記に加えて言語能力や素行なども審査要件となります。国籍取得の条件は一人一人異なるので詳しくは Service-public.fr でチェックする必要があります。

親になること

フランスの保育園・幼稚園

以下はフランスの子供の受け入れ施設のタイプです。

La crèche(保育園・幼稚園)La micro-crèche(少人数制の保育園・幼稚園) La halte garderie(放課後保育のような施設)L’assistante maternelle agréée(個人の保育士)
2ヶ月半〜3歳2ヶ月半〜3歳
制限なし定員10人まで制限なし定員4人まで
定期的な受け入れ定期的か臨時の受け入れ臨時の受け入れ定期的な受け入れ


一般的なのは先頭のLa crècheで、大半の子どもが通う施設です。Relais assistantes maternelle のサイトでは受け入れ先を探せます。

フランスの学校

公立学校は高校まで無料で、教科書は貸与のものを使います。一方で給食費、修学旅行費雑などの負担は発生します。フランスにはARSと言う子供の養育にかかる費用の補助金があり、こちらはCAFのページで申請します。

学校での宗教の扱い

上記で述べた通り、ライシテの原理が存在するフランスの学校では宗教を学ぶことはありません。学校で宗教のプロパガンダは禁止されていますが信仰の自由は保障されているので学校で宗教の話をしたり、周りに配慮した上で宗教行為を行ったりすることは認められています。

住居

フランスでは住居を契約するときにLa caution = 保証人、保証金を提示するのが慣例です。保証金は退去時に特に問題がなければそのまま返金されます。また住居維持は賃借人の仕事とみなされていて、庭の手入れや壁の塗装などがこの中に含まれます。


Bail(賃貸契約)について

フランスには家具付き(meublé)と家具なし(non meublé)の物件があり、契約更新期間がそれぞれで異なります。

  • 家具付き物件:1年更新
  • 家具なし物件:3年更新

また退去時の通告タイミングも異なります。

  • 家具付き物件:1か月前に通知
  • 家具なし物件:3か月前に通知

3か月前には通知しないといけないって結構厳しいですね…。例外もあり、例えば引っ越しが仕事の異動などで生じた場合や都市部など物件が不足しているところに住んでいる場合などは家具なし物件の場合でも1か月前に通知でOKです。物件が不足しているエリアはzone tendueと呼ばれています。

自分が住んでいる場所がzone tendueに当たるかどうか、その他住居に関する情報はIRL = indice de référence des loyersのサイトで探せます。

アパートに住むときの決まり事

アパート内の決まり事(Le réglement intérieur)を確認します。隣人に対する住居音、騒音(Bruits voisinages) についての規約はcommuneのページを見ると記載があります。例えばストラスブールの場合は平日7-20時で騒音が生じる工事などが可能です(音を出す時は事前に隣人に告知します)。ちないに国全体の決まりとして22h以降は原則静かに、という規約があります。

Etat des lieuxについて

フランスでは賃貸に入居する時はEtat des lieuxと呼ばれる手続きがあります。これは大家さんと入居者が一緒に入居時点でのアパートの確認をすることを指します。入居時点での住居の状態を細かい所まで記録する必要があります。Etat des lieuxの書類は入居後10日以内の場合は修正依頼が可能です。所得が低い場合は住居手当(APL)が受け取れます。こちらもCAFのページで申請します。また、Prêt d’équipementと呼ばれる引っ越し時の家具購入用の貸与金(月々少額で返済)の制度もあります。

健康

病院における患者の権利では以下のようなものがあります。

  • 信仰を守る権利
  • 自分の意志で病院を出る(退院する)権利
  • 自分のカルテを見る権利

健康診断

ストラスブール地域の場合、Centre médical et dentaire MGEN de Strasbourg で健康診断を受信できます。費用はセキュリティソシアル(医療保険)で返金されるようです。

PMIについて

フランスにはPMI= Protection Maternelle et Infantile と呼ばれるサービスがあります。こちらは妊婦や小さな子供を持つ親向けのサービスで、育児や子ども健康などに関わることについて無料で助言を受けられます。

就職、労働

フランスでの就労情報あれこれ

フランスでは最低賃金はSMIC(スミック)と呼ばれます。 都道府県で最低賃金が異なる日本と反対にフランスの最低賃金は国レベルで統一されています。

フランスでの法定労働時間は週35時間でこれ以上の労働は割増賃金(10-25%)となります。従業員が残業をした場合、雇用主は割増賃金を払うか有給を提供します。

フランスでの労働に関する規約はle code de travailと呼ばれます。労働時間に関してはこちらのle code de travailで以下のように定められています。
1日の最長労働時間 10時間
週の最長労働時間 48時間(業界や契約によって変わる)
フランスでは各業界ごとにconvention collectiveと呼ばれる労働規約があるのですが、このページでは会社の名前で自分にどのconvention collectiveが適用されるかを検索できます。
複業が可能な会社もありますが、フルタイムのCDI契約の場合、有給中の有償労働は禁止されています。

会社を設立したい時

フランスで会社を設立したい時はCréer une entreprise Vérifier si l’activité envisagée est réglementéeというサイトを見ると会社設立に特別な資格や学歴が必要かなどを確認できます。また、フランスのハローワークでもあるFrance Travailでもサポートを受けられます。


就労と宗教
宗教に関わるアクセサリーの着用は権利として認められていますが、職場や職業によっては制限されることもあります。

まとめ

今回も盛りだくさんな内容でかなり頭を使いました😆個人的にはフランスでの労働時間の長さ(週35時間、1日の最長労働時間10時間、週の最長労働時間48時間)が日本に比べてとっても健康的だなと思いました😁さすがバカンス大国。この労働をしすぎない仕組みが確立しているところが私にとってのフランスの魅力のひとつです。残り二日もしっかり色々学んで来ようと思います😊

おまけ1:一緒に講座に参加している一人がパンを差し入れしてくれました😊ごまとチーズのパンです。菓子パンっぽいちょっと甘い生地でなんだか日本のパンを思い出しました😊トルコのパンかな?ごちそうさまでした!

おまけ2:講座が終わっていざ帰ろう、と言うときにそれまで青空だったのに急に曇り空になって雨が降ってきました。幸運なことにカッパを持ってきていたのでびしょぬれは回避できましたが、途中からなんとちょっと雹も降ってきて自転車こいでる時に顔に当たって痛かったです😅帰宅時にはもう晴れ空でほんとに15分くらいの夕立みたいな天気でした。

この記事を楽しんでいただけたら「いいね👍」していただけると嬉しいです😊

タイトルとURLをコピーしました