フランスで就職活動をする時に準備しなければいけないのが履歴書。フランス語ではCV(セーヴェー)と言います。日本では雛型を印刷またはダウンロードして記入していくのが一般的ですが、フランスではこれと言った形式や決まりはなく、何をどう書くかは求職者の自由です。とは言っても採用担当者の目に留まりやすいCVは存在します。と言うことで、今回はフランスで就職活動をしている私が就活の一環で参加したCVの書き方講座で習った内容をご共有しようと思います。
CVの役割とは
CVの書き方講座の講師の先生曰く、採用担当者が1枚のCVを確認するのに費やす時間はなんとおよそ5~6秒にしか満たないとのことです。つまり、全体をさーっと見て気になる職歴やワードがない場合はすぐゴミ箱へ、と言うわけです。なのでいかに簡潔に、分かりやすく、自分が募集されている職にふさわしいかを伝える必要があります。では実際にCVの例を見ていきましょう。
CVの中身について
以下ざっくりと上記のCVに記載されている内容の説明になります。リストの番号が上記の番号の項目と対応しています。
- 氏名
- 顔写真
- 生年月日(一般的な書き方は「日日/月月/年年年年」となります)、年齢、性別(フランス語では「~生まれ」と書く際、男性なら「Né」女性なら「Née」となり、自然と性別が分かります。
- 連絡先(住所、電話番号、メールアドレス)
- 使用言語とレベル
- 趣味・関心
- 応募職種名
- Phrase d’accroche:応募職種に適合する自分の経歴や能力などを簡潔に記載します(例:「3年以上の顧客対応経験」など)
- 自分を表すキーワード(例:チームワーク力、マルチタスク、サービス精神 など)
- 職業上の能力(顧客と良好な関係を築く、ITリテラシーがある など)
- 職歴
- 学歴
次にCVにどんな内容を盛り込むべきか見ていきましょう。赤マーカーが必須、黒マーカーは推奨を表しています。
- 氏名
- 顔写真
- 生年月日、年齢、性別
- 連絡先(住所、電話番号、メールアドレス)
- 使用言語とレベル
- 趣味・関心
- 応募職種名
- Phrase d’accroche:応募職種に適合する自分の経歴や能力などを簡潔に記載します(例:「3年以上の顧客対応経験」など)
- 自分を表すキーワード(例:チームワーク力、マルチタスク、サービス精神 など)
- 職業上の能力(顧客と良好な関係を築く、ITリテラシーがある など)
- 職歴
- 学歴
意外にも顔写真や生年月日、年齢、性別は必須事項ではありません。もし記載したくない場合は記載しなくても問題ありません。他方で講師の先生曰く、顔写真についてはあったほうが採用担当者に安心感を与えられるとのことです。もし自分が採用担当者だとしても、写真があったほうが応募者がどんな人か直感的に分かって安心ですよね。顔写真は日本の証明写真のような改まったものではなく、普通の写真の切り抜きでもOKです。笑顔で自分の魅力を伝えられるような写真を選びましょう😊
CVの土台作り
まずは赤マーカーの必須要素についてもう少し詳しく記載します。
氏名:通称の使用も可能です(旧姓の使用など)。
連絡先:住所は詳細に記載しなくてもOKです。他方で採用担当者が居住地をある程度把握できるようにするため市町村レベルまでの記載は推奨されています。採用担当者が連絡を取れるように電話番号、メールアドレスは間違いがないように記載します。
応募職種名:一般的にCVの上部に記載します。
職歴:日本式では古い職歴〜最近の職歴と言う順番に書いていくのに対し、フランスでは最初に最近の職歴を書きます。ポジション名、会社名、務めた期間を記載します。追加事項として、
- 契約書のタイプ(正社員=CDIか、契約社員=CDDか、フリーランスか など)
- 仕事内容
- 功績(売り上げ何%アップに貢献、大規模案件を完遂 など)
などを記載しても良いです。職歴を記載する時のポイントは募集職種と関連性がある職歴を強調することです。例えばパン屋さんの売り子の職に応募する際にエンジニアの職歴の詳細を書いても採用担当者にはあまり響きません。それより、学生の時にアルバイトでパン屋さんやケーキ屋さんなどで働いた経験がある場合それらを詳細に書く、太字で書くなどしたほうが効果的です。このように異なる職種、業界で働いたことがある場合、応募職種に関連性がある職歴にフォーカスを当ててCVの内容を変更する必要があります。
学歴:学歴も職歴と同じで最新の情報から書きます。基本的には最終学歴のみでOKです。学校名、在学期間、卒業年月、学位(学士、修士など)、分野などを記載します。社会人になった後に社会人スクールなどに通った場合もこちらに記載します。
CVに記載すべきプラスアルファ
次に黒マーカーの推奨要素についてもう少し詳しく記載します。
使用言語とレベル:言語もアピールポイントになります。日常会話レベルでも話せるならば記載してOKです。TOEICなどのテスト結果があれば記載するとベターかと思います。
趣味・関心:記載すればより自分の人となりを知ってもらえる材料になります。ボランティアなどプライベートでの活動なども記載しても良いかと思います。
Phrase d’accroche:日本語にするならば「キャッチフレーズ」でしょうか。ここにはパッと見てわかる自分の強みや経験を簡潔に記載します。例えば「マーケティング学位取得、5年の勤務経験」や「プログラミング歴3年、複数業界での就業経験あり」など簡潔に、直感的に分かる内容を記載するのがポイントです。
自分を表すキーワード:この項目は分かりやすく言うと「あなたを一言で表すなら?」という問いに対する答えです。ただ性格的なことだけではなく、業務上プラスになり得る能力についても記載します。私の場合は
- polyvalence:マルチタスク
- rigueur:厳格、真面目
- autonomie:自立している=自分で考えて動ける
- esprit d’équipe=チーム精神=チームワーク
- sens du service=サービス精神
- bon humeur=スマイル、笑顔
あたりを募集職種に応じて記載しています。この項目のポイントも募集職種に関連するようなキーワードを選ぶことになります。通常募集要項に「時間を守れる人」「チームでの仕事ができる人」「サービス精神がある人」など、探している人の条件が記載されているのでこちらを参考にすると良いです。
職業上の能力:この項目には実際に働く際に自分が提供できることについて記載します。例えば最近店舗での販売員の職を探している私の場合、
- Construction de bonnes relations interpersonnelles(良い人間関係を構築する)
- Conseils/propositions adaptés aux besoins des clients(顧客の要望に合った提案をする)
- Priorisation des tâches(タスクの優先付けをする)
- Formation des collaborateurs(研修を担当する)
- Maîtrise des outils informatiques (Word, Excel, Power Point, Power BI)(ビジネスツールを使う)
を記載しています。これが良い例かはなんともと言う感じかもしれませんが、顧客満足が重要な小売店にとって人当たりの良さやマルチタスクは重宝されるのでは、と思ってこちらの内容を記載しています。こちらの内容も例にもれず募集職種に関連するような内容を記載するのがコツです。
上記に加え、資格や免許、簡潔な動機(1~2行でなぜ応募したのか記載する)などを記載してもOKです。
読んでもらえるCVとは
長くなってしまいましたが、フランスにおける履歴書とは、ただ自分の経歴を書くものではなく、自分が募集職種にふさわしいことをアピールするための重要な資料です。機械的に記載する個性の出にくい日本の履歴書と違い、フランスのCVは採用担当者にとって自分をどれだけ魅力的に見せられるか、がポイントになります。私は講習を受けるまでCVの大切さを知らず、パン屋の売り子だろうが事務職だろうが同じ内容のCVを提出していました😅フランスでは就活の際CVと合わせて志望動機書(Lettre de motivation)も提出するので、動機書の中で自分がいかにモチベーションがあるかを力説していたのですが、そもそもCVの時点で不合格で動機書は読んでもらえてなかった可能性もあります…。と言うわけで、フランスで就活する際は自分の経歴、能力の中で応募職種に関連する項目に焦点を当てることを念頭に置いてCVを作成しましょう!
この記事が皆さんのフランスでの就職活動に少しでも役立てばうれしいです😊