先日OFIIの招集に行った際の記事を書きましたが、今回はOFIIが提供する市民講座(formation civique)についてまとめます。
市民講座(formation civique)とは
- 講座の目的:フランスの社会制度や文化などを学び、フランス社会で生活する基盤を作ること
- 8時半~16時半くらいの時間×4日間
- 毎週決まった曜日に受講する(月曜日~土曜日の中で曜日を決める)
- 参加は必須であり、この市民講座参加後に受け取る証明書が次回のVISA更新の際の提出書類になる(→こちらの書類がないと更新したVISAの有効期間が1年間になってしまいます)
実際に行ってみた
私の場合は家から自転車で15分くらいのところが会場でした(共有された住所:HESIO – FORET NOIRE – SALLE 1 7 AVENUE DE LA FORÊT-NOIRE 67000 STRASBOURG)。事前に受け取ったメールには身分証明書(パスポート)とお弁当を持ってくるように指示がありました。講座中はいろいろ情報提供があるのですが、説明資料などは配られないので追加でメモ帳などがあると良さそうです(私はスマホのメモ帳でメモを取っていましたがこれでも大丈夫です)。

開始10分前くらいに着くとおじさんが入り口に立っていて、「この建物入って2階の部屋に行って」と指示がありました。

パッと見では特に案内がないのでほんとにここかな?と思う出で立ち😅

こちらが会場です。どこかの事務所みたいな雰囲気の部屋にホワイトボードとプロジェクターが設置されていました。

今回は講師の先生が一人、参加者が15人くらいでした。トルコ語話者の参加者が10人くらいいてトルコ語通訳の男性が一人同席していました。他の参加者はチュニジア一人、コンゴ一人、アフリカのどこかの国(詳しくは聞き取れなかった)二人、日本人一人という感じでした。アフリカのどこかの国にルーツがある二人に対してはオンラインで通訳の女性が参加していました(が、実際には二人ともフランス語レベルが高くて不要な雰囲気でした)。その他の参加者についてはOFIIの方で通訳不要と判断したのか特に通訳はありませんでした。講座は講師の先生が話す度に通訳が入る、と言う流れで進みました。

こちらは電子レンジや流しがある部屋。一見休憩室のような部屋ですが暖房は付いてなくて寒いので食事の準備はここでして食事自体は講義がある部屋で、とのことでした。
スケジュールとしてはまず朝は出欠確認があり、その後午前中に1回休憩(15分ほど)、お昼休憩(1時間ほど)、午後に1回休憩(15分ほど)という感じでした。休憩中は外に出てもOKです。
講座内容
講座開始の際に注意点として「聞いてるだけじゃなくて、”参加”してね」と言われました。講座の中でこれについてはどう思う?とかどんな経験した?とかの問いかけがあるので、その時には自分の意見を共有する姿勢を持つことが重要です。今回は第1回目と言うことでこれからのテーマの概要が共有された回でした。テーマは以下のような感じでした。
- フランスと言う国について
- フランスの地理的特徴
- 世界におけるフランスの立ち位置
- フランスの象徴
- フランスの原則及び価値観(Les principes et les valeurs)
- 行政手続きについて
- Service-public.frの使い方
- 必須の保険
- 状況変更の際の申告の重要性
- 医療について
- 雇用について
- フランスで親になることについて
- 住居について
以下はそれぞれの項目について、私がおもしろいな、役に立ちそうだなと思ってメモした内容です。必ずしも毎回この内容とは限らないので、講座ではこんなことが共有されるよ、という参考程度になります。
フランスと言う国について
フランスの地理的特徴:フランスは
- La métropole(ヨーロッパに位置する部分)
- DROM(Dépertement et Région d’outre-mer=海外県)
- COM(Collectivités d’outre-mer=海外自治体)から成ります。
また自治体の分類は
- Régions (métropoleで13、海外領土で5の合計18) 日本で言う地域Grand Est 10年前から
- Départements(101) Bas-Rhin =67 Préfet 日本で言う県
- Communes(約35000) Strasbourg 日本で言う市町村
となります。ちなみにストラスブールを例にすると
- Régions =Grand Est
- Départements =Bas-Rhin
- Communes =Strasbourg です。
世界におけるフランスの立ち位置:フランスは世界から見るとどんな国かと言うと
- 農業大国
- 観光大国
- 8つの国、4つの海と接している
- 世界第2位の経済力を持つEUの創設国
フランスの象徴 :
- 国旗:赤と青はフランス革命当時のパリの町の色でそこに君主制を示す白を加えて現在の三色旗になったそうです。
- 鶏 :私はあまり知らなかったのですが鶏もフランスを象徴するものです。誇り(fierté)や戦う姿勢の象徴とのこと
- マリアンヌ:フランス政府のアイコンに登場する横顔の女性です(下記の画像のもの)。こちらの女性、実は想像上の人物で自由を象徴するそうです。

- ラ・マルセイエーズ:フランスの国家です。原曲はなんとストラスブールで作曲され、当時は題名も違ったのですが、マルセイユの軍がパリでフランス革命に参加した際に歌っていたことで有名になりました。
フランスの原則及び価値観(Les principes et les valeurs):
フランスの3原則はLiberté(自由)、Egalité(平等)、Fraternité(博愛)です。
自由について:フランスにおける自由とは、宗教そのものを批判することはできるが信者を侮辱する、差別することはできない。また面接で性別、信仰、健康状態、出身などを聞かれても答える義務は無い
平等について:仕事の平等、投票権、男女平等など
博愛について: 税金などをすべての人が出し合うことで誰もが 教育、社会保障へのアクセスできる仕組み
行政手続きについて
こちらのページは行政サービスについて情報収集ができます。例えばtimbre fiscaleの購入方法や各種書類の保存期間(請求書類は5年間、など)などを調べられます。
加入必須の保険
フランスでは下記の保険への加入が必須です。
- La responsabilité civile(自転車事故で生じた賠償責任などもこの保険でカバーできます)
- 住居保険
- 車両保険(車を所有している場合)
状況変更の際の申告の重要性
引っ越しした、家族構成が変わったなどの際は市役所やCAF(社会保障を担当する組織)への申告が必要です。
医療制度について
フランスでの緊急時の連絡先は以下の番号になります。
- 15:Urgence(SAMU) =救急
- 18:Pompier =消防
- 112:urgence EU=EU県内の緊急時
- 144:話せない時 難聴の人用番号(テキストで対応)
フランスではかかりつけ医(Médecin traitent)を申告する必要があり、こちらはameliと言うアプリで申告できます。
アルザス地方の緊急番号も共有してくれました。
- SOS MEDECINS 03 88 75 75 75
- ASUM67 03 88 36 36 36
フランスでは病休を取る場合、4日目から医療保険による給付金が受け取れます。アルザスの場合はこの制度に加えて最初の3日間は雇い主が給付金を出してくれるそうです。ちなみに労災の場合はすぐに医療保険の給付金が出ます。滞在許可証を更新した場合はこちらもameliと言うアプリで申告が必要です。
雇用について
VAEと言うサイトでは 1年以上の就業経験の承認ができるそうです。
また私が以前まとめたFrance Travailや海外の学位をフランスで認めてもらう方法についても共有がありました。
フランスで親になることについて
フランスで親になる際に義務になるのは以下のような点です。
- 二親の責任、義務(父親だけが決定権を持つ、と言うようなことがない)
- 子供の基礎的権利の尊重
- 成人までの保護
- 教育
- 子供の遺産の管理
- 子供がちゃんとフランス語を話せるように努力する ←これが明記されているのがなかなか興味深いですね
住居について
demande-logement-social.gouv.frというページではlogement socialという低所得者向けの公共住宅の申請ができます。現在フランスは特に都市部を中心に慢性的な住居不測の状態が続いているため、公共住宅への入居は難しい状況とのことです。不動産などを介しての住居探しも日本に比べたら色々とハードルが高そうで頭が痛いですが、そろそろ最大の難関、住居探しも着手したいところです。

フランスに着いてからたくさんの行政手続きに立ち向かう必要があるのですが、これらの手続きをサポートしてくれる組織があるとのことで、そちらの案内もしてくれました。
まとめ
今回は導入回とのことでそれぞれの項目はさらっと触れておしまい、というものも多かったのですが、それでもなかなかの情報量でした😅手続き系は個人的にはけっこう完了しているものも多かったのですが改めて今後やるべきことが整理できてよかったです。あと3回、がんばって乗り切ろうと思います!